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アウグスティヌスの告白の表現

アウグスティヌスの告白の表現

表現技法:内省と対話

アウグスティヌスの告白は、その特異な表現技法によって古代ローマ文学の中でも傑出した作品として知られています。
とりわけ注目すべきは、内省と対話という二つの要素が巧みに織り交ぜられている点です。

内省:心の奥底をえぐり出す

アウグスティヌスは、自らの過去の罪や心の葛藤を赤裸々に告白していきます。
幼少期の盗み、青年期の肉欲、真理を求めて彷徨う姿など、彼の内面は容赦なく描写されます。
例えば、悪友と梨の木から梨を盗んだエピソードでは、単なる盗みではなく、盗む行為自体に喜びを感じていた自身の心の闇を深く掘り下げています。
このような内省的な描写は、読者に自分自身の内面と向き合うことを促す力強い効果を生み出しています。

対話:神への問いかけと語りかけ

もう一つの特徴は、神との対話形式で書かれていることです。
アウグスティヌスは、自らの経験や疑問、苦悩を神に語りかけ、問いかけます。
その内容は、信仰への疑念、神の愛と慈悲への渇望、そして魂の救済への願いなど多岐にわたります。
例えば、時間論で有名な「神よ、あなたは永遠であり、時間の中にいながらすべての時を超越しておられます」という一節は、時間と永遠という抽象的な概念に対する彼の苦闘を雄弁に物語っています。
このような神との対話を通して、アウグスティヌスの内面世界はより深く、立体的に浮かび上がってきます。

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