## アウグスティヌスの告白の感性
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神への愛と罪の意識の両立
アウグスティヌスの『告白』は、回心以前の自身の姿と、回心に至るまでの葛藤を赤裸々に描き出した作品です。その中で色濃く表現されているのが、神への愛と罪の意識の両立という複雑な感情です。
アウグスティヌスは、幼少期から神の存在を感じながらも、欲望に溺れる青年時代を送ります。その過程で彼は、盗みや肉欲の罪を重ね、自らの行いの悪を自覚しながらも、抗えない自分に苦悩します。
彼は、神を真に愛していれば、そのような罪は犯さないはずだと考えます。しかし同時に、心の奥底では神を求め続けているという矛盾を抱え、その狭間で激しく揺れ動くのです。
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内省と自己分析
『告白』の特徴の一つに、徹底的な内省と自己分析が挙げられます。アウグスティヌスは、自身の記憶を辿り、過去の言動を克明に描写することで、自らの内面に潜む欲望や罪の根源を鋭く見つめます。
彼は、自身の罪悪感を単なる感情として捉えるのではなく、神から与えられた自由意志によって人間が誤った選択をしてしまう可能性を考察します。
また、回心後も、完全な人間からは程遠い自身の姿と向き合い続け、驕りや虚栄心といった心の奥底に潜む罪の芽を、絶えず警戒する姿勢を貫きます。
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時間と永遠への渇望
アウグスティヌスは、『告白』において、時間と永遠という概念についても深く考察しています。彼は、過去・現在・未来という時間の流れの中で、永遠なる神への憧憬を表明します。
過ぎ去った過去への後悔、現在の不完全さへの苦悩、そして未来への不安を抱えながらも、真の安らぎは、永遠なる神の内にのみ存在すると確信します。
このように、『告白』における時間論は、アウグスティヌスの内面における葛藤や、神への渇望を理解する上で重要な要素となっています。