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アウグスティヌスの告白の思想的背景

## アウグスティヌスの告白の思想的背景

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新プラトン主義

アウグスティヌスは回心前に、マニ教や懐疑主義を経て、新プラトン主義に傾倒しました。新プラトン主義は、紀元3世紀にプロティノスによって体系化された哲学思想です。「エネアデス」などの著作を通して、プラトンの思想を解釈し、後世に多大な影響を与えました。

新プラトン主義は、感覚的世界を超越した「一者」を根源的な原理として、そこから段階的に流出してこの世界が生じたと考えます。そして、人間の魂もまた「一者」から流出したものであり、真の幸福は、感覚的な快楽ではなく、理性によって「一者」へと回帰することによってのみ達成されるとしました。

アウグスティヌスは、新プラトン主義の著作に感銘を受け、特に悪の起源に関する考察や、感覚を超越した霊的な世界の存在について深い共感を覚えました。彼は、新プラトン主義を通して、キリスト教の真理を理解するための重要な哲学的枠組みを獲得したといえます。例えば、悪を「善の欠如」として捉える新プラトン主義の思想は、後のアウグスティヌスの神義論に大きな影響を与えています。

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聖書の思想

アウグスティヌスは、ミラノでアンブロシウス司教の聖書解釈を聞き、聖書に対する理解を深めていきました。彼は特に、パウロの手紙に感銘を受け、神の恩寵と人間の自由意志の関係について深く考察しました。

旧約聖書における神の創造と摂理、人間の堕落、そして救済の歴史といったテーマは、「告白」においても重要な背景となっています。また、新約聖書、特にパウロの手紙に見られる、神の恩寵による救済、信仰と行為の関係、愛の重要性といった思想も、「告白」の根底に流れています。

アウグスティヌスは、聖書を単なる歴史書や道徳書としてではなく、神の言葉として読み解くことの重要性を説きました。彼は、聖書解釈において、寓意解釈(アレゴリー)を用いることで、聖書の背後にある神の意図を読み取ろうとしました。

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マニ教の影響

アウグスティヌスは、青年期にマニ教に傾倒していました。マニ教は、ゾロアスター教の影響を受けた二元論的な宗教であり、光と闇、善と悪の二つの原理が永遠に対立するという教義を特徴としています。

アウグスティヌスは、マニ教の禁欲的な生活や、善と悪の対立に関する教説に惹かれましたが、後にマニ教の教義に疑問を抱き、離れることになります。

マニ教の影響は、「告白」においても、悪の起源や人間の罪深さに関する考察に見ることができます。マニ教から離れた後も、アウグスティヌスは、人間存在における悪の現実と、神の全能性との関係について、生涯にわたって苦悩し続けました。

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