## アウグスティヌスの告白の周辺
著者:アウレリウス・アウグスティヌス
354年、北アフリカのタガステに生まれたアウグスティヌスは、古代末期から中世初期にかけて活躍したキリスト教の神学者であり、哲学者です。その影響力は西方教会全体に及び、「教会博士」の一人として後世に多大な影響を与えました。
成立:397年から400年頃
アウグスティヌスが33歳の時にキリスト教に改宗した後、41年から43年にかけて執筆されたとされています。
構成:全13巻
「告白」は、アウグスティヌス自身の回心体験を語る自伝的作品です。全13巻から成り、時間軸に沿って幼少期からキリスト教への改宗、そして司祭叙階に至るまでの道のりを描いています。
* **第1巻から第9巻:** アウグスティヌス自身の半生を回顧する構成となっており、幼少期の罪の意識、青年期の放蕩、マニ教への傾倒、そしてミラノにおけるアンブロシウス司教との出会いと苦悩を経て、キリスト教への改宗に至るまでの葛藤が赤裸々に描かれています。
* **第10巻:** 回心後のアウグスティヌスの内面を探求する内容となっており、記憶、時間、感覚などについて考察しています。
* **第11巻から第13巻:** 「創世記」の解釈を通して、神による世界の創造について論じています。
特徴
* **自伝的告白文学:** 「告白」は、単なる過去の出来事を記録した自伝ではなく、自身の内面を深く掘り下げ、神への愛と信仰を告白する文学作品としての側面も持ち合わせています。
* **哲学的思索:** 自身の経験を通して、人間存在の本質、善と悪、時間と永遠、自由意志と神の恩寵など、哲学的なテーマについても深く考察しています。
* **ラテン文学の傑作:** 「告白」は、その内容の深さだけでなく、洗練された文体と修辞法を用いた表現力によって、ラテン文学史上の傑作の一つと評価されています。
影響
「告白」は、西洋文学、哲学、神学に多大な影響を与え、後世の多くの思想家や作家たちにインスピレーションを与えました。ルソーの「告白」、パスカルの「パンセ」など、自伝的告白文学の先駆的作品としても位置づけられています。