## アウグスティヌスの告白の仕組み
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構成
『告白』は全13巻から成り、時系列に沿ってはおらず、アウグスティヌスの内的遍歴と思索の展開が中心となっています。各巻の内容は以下の通りです。
* **第1巻~第9巻:** アウグスティヌス自身の回心までの半生が描かれます。幼少期の罪の意識、青年期の放蕩、マニ教への傾倒、そしてアンブロシウスとの出会いとキリスト教への回心などが語られます。特に、第8巻における回心の場面は、西洋文学史上に残る名場面として知られています。
* **第10巻:** 回心後のアウグスティヌスの信仰と理性の葛藤が描かれます。ここでは、記憶、時間、創造など、哲学的な考察が展開されます。
* **第11巻~第13巻:** 旧約聖書の創世記の解釈を通して、神による世界の創造、悪の起源、人間の堕落などが論じられます。
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文体と修辞技法
『告白』は、神への祈りの形をとった告白という形式で書かれています。これは、古代末期のキリスト教文学において一般的な形式でした。また、修辞学を学んだアウグスティヌスは、比喩、反復、対句、問答法など、様々な修辞技法を駆使して、自身の内面を鮮やかに描き出しています。
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特徴
『告白』は、単なる個人的な回心記を超えた、哲学的・神学的考察に富んだ作品です。アウグスティヌスは、自身の経験を通して、人間存在の本質、罪と恩寵、時間と永遠、自由意志と神の摂理など、普遍的なテーマについて深く考察しています。
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影響
『告白』は、西洋の思想史に多大な影響を与えた作品であり、後世の神学者、哲学者、文学者たちに読み継がれてきました。特に、人間の内面性の探求、信仰と理性の葛藤、時間論などは、その後の西洋思想に大きな影響を与えています。
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