## アウグスティヌスの告白に匹敵する本
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ジャン=ジャック・ルソー『告白』
ジャン=ジャック・ルソーの『告白』(1782年)は、『アウグスティヌスの告白』と同様に、著者の個人的な経験を通して人間の魂の深淵を探求した自伝的作品です。ルソーは自らの生い立ち、恋愛、思想の変遷などを赤裸々に綴り、自己正当化と自己嫌悪の間で揺れ動く複雑な内面を露わにしています。
『告白』が後世に与えた影響は大きく、ロマン主義文学の先駆的作品として位置付けられています。理性よりも感情や感覚を重視するルソーの思想は、後の時代の文学や思想に大きな影響を与えました。また、個人的な経験を普遍的なテーマへと昇華させた『告白』の手法は、自伝というジャンルに新たな可能性を切り開いたと言えるでしょう。
『アウグスティヌスの告白』と比較した場合、ルソーの『告白』は宗教的な色彩が薄く、より人間的な葛藤に焦点を当てている点が特徴です。また、ルソーは自らの罪や弱さを隠すことなく告白することで、読者の共感を誘っています。