## ヴェブレンの企業の理論の技法
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制度経済学に基づく分析
ヴェブレンは、企業の行動を分析する上で、当時の主流派経済学の枠組みを超えた、制度経済学的なアプローチを採用しました。彼は、企業は単なる生産要素の集合体ではなく、社会的な制度として捉えるべきだと主張しました。具体的には、企業は、所有と支配の関係、習慣、社会規範、法律など、様々な制度的要因によって規定されていると考えました。
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顕示的消費と競争
ヴェブレンは、企業の行動原理として、「顕示的消費」と「競争」を重視しました。彼は、人々は自己の社会的地位を示すために、贅沢な消費活動を行う傾向があると指摘しました。企業は、このような消費者の欲求を満たすために、高価格・高品質な商品やサービスを提供することで、競争優位を築こうとします。このプロセスを通じて、企業は、さらなる顕示的消費を促進し、社会全体の消費水準を引き上げていくことになります。
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技術革新とサボタージュ
ヴェブレンは、企業が技術革新を推進する一方で、同時に技術進歩を阻害する「サボタージュ」を行う可能性も指摘しました。企業は、短期的な利益を最大化するために、既存の生産設備や技術に固執し、新たな技術の導入を遅らせることがあります。また、競争を抑制するために、特許権などの知的財産権を駆使して、技術革新を独占しようとすることもあります。
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歴史的・進化論的視点
ヴェブレンは、企業の行動を理解するためには、歴史的・進化論的な視点が不可欠だと考えました。彼は、企業は、時間の経過とともに、その内部構造や行動様式を変化させてきたと指摘しました。具体的には、企業は、小規模で競争的な状態から、大規模で寡占的な状態へと進化してきました。この過程で、企業は、市場支配力を強め、社会全体に大きな影響力を持つようになってきました。