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ヴェサリウスの『ファブリカ』の思考の枠組み

## ヴェサリウスの『ファブリカ』の思考の枠組み

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古代の権威への挑戦と経験的観察の重視

ヴェサリウスの『ファブリカ』(De Humani Corporis Fabrica Libri Septem)は、1543年に出版された解剖学書であり、古代ギリシャの医師ガレノスの権威に挑戦し、人体解剖に基づいた詳細な観察を重視した点が画期的でした。

ガレノスは2世紀のローマ帝国で活躍した医師であり、その解剖学や生理学の知識は中世ヨーロッパ医学において絶対的な権威とされていました。 しかし、ガレノスは人体解剖を直接行っておらず、その知識の多くは動物、特にサルを解剖した結果に基づいていました。

ヴェサリウスは、自ら人体解剖を行い、ガレノスの記述に多くの誤りがあることを発見しました。 例えば、ガレノスは人間の肝臓は4つに分かれていると記述していましたが、ヴェサリウスは実際には1つであることを確認しました。

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視覚表現の革新と芸術との融合

『ファブリカ』は、その内容だけでなく、出版物としての形式においても革新的でした。

『ファブリカ』には、精巧で美しい木版画が多数掲載されています。 これらの木版画は、ティツィアーノの弟子であるヤン・ステファン・ヴァン・カルカルらによって制作されたとされており、それまでの解剖図とは一線を画すものでした。

ヴェサリウスは、これらの木版画を用いることで、読者に人体内部の構造をより正確かつ直感的に理解させようとしました。 また、木版画には、解剖の様子や人体を背景とした風景などが描かれており、単なる図解を超えた芸術的な価値も認められています。

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