## ヴィトゲンシュタインの哲学探求の構成
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構成の特徴
『哲学探求』は、伝統的な哲学書に見られるような体系的な構成を取っておらず、番号付けされた短い断章から成り立っています。大きく分けて2部構成となっており、第1部は1951年の初版と同時に出版され、第2部はヴィトゲンシュタインの死後、遺稿から編纂されました。
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第1部の構成
第1部は、以下の様なテーマが中心的に扱われています。
* 言語と意味について
* 語りえぬものについて
* 規則と従うこと
* 心理的な概念の分析
これらは断片的に、時に相互に関連付けられながら展開されます。有名な「言語ゲーム」の概念も、この第1部で登場します。
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第2部の構成
第2部は、第1部よりもさらに断片的な記述が多く、ヴィトゲンシュタインが後年に関心を寄せていたテーマが扱われています。
* 見ることと知覚
* 思考と想像
* 宗教と倫理
第2部は、第1部で展開された言語に関する考察を基盤としつつも、より幅広い哲学的問題に目を向け、考察を深めていると言えるでしょう。
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番号付けの体系
『哲学探求』の特徴的な点として、複雑な番号付けの体系が挙げられます。
* **段落番号**: 1から始まる通し番号が振られています。
* **節番号**: 複数の段落がまとまって一つの節を構成し、”§” 記号と数字で表されます。
* **注釈**: 本文中の単語やフレーズに付された短い注釈が存在します。
このような番号付けの体系は、一見すると読解を困難にするように思われますが、同時に、各断章の相互関係を示唆し、読者が多様な解釈を探求することを促す役割も担っています。