## ワルラスの純粋経済学要論の力
レオン・ワルラスの「純粋経済学要論」(Éléments d’économie politique pure)は、1874年に出版された経済学書であり、近代経済学、特に新古典派経済学の基礎を築いた重要な著作として知られています。
この書は、それまでの経済学の断片的な分析を体系化し、数学を用いて経済現象を包括的に説明しようとした点で画期的でした。
「純粋経済学要論」の力は、主に以下の3点に集約されます。
### 1. 一般均衡理論の構築
ワルラスは本書において、需要と供給が相互に影響し合いながら、全ての市場において同時に均衡状態が達成されるという「一般均衡理論」を初めて体系的に提示しました。これは、個々の市場の分析に留まっていた当時の経済学の枠組みを大きく拡張し、経済全体を包括的に捉えることを可能にしました。
### 2. 数学的手法の導入
ワルラスは、経済現象の分析に数学的手法を積極的に導入しました。これは、複雑な経済現象を簡潔かつ明瞭に表現することを可能にし、経済学の科学としての厳密性を高めることに貢献しました。特に、連立方程式を用いて一般均衡を表現したことは、後の経済学における数理モデル分析の基礎となりました。
### 3. 限界効用理論の展開
ワルラスは、財の価値は、その財から得られる追加的な満足度(限界効用)によって決まるとする「限界効用理論」を展開しました。これは、それまでの古典派経済学における労働価値説に代わる新しい価値の理論を提供し、需要曲線の導出など、ミクロ経済学の基礎を築きました。
これらの革新的な要素によって、「純粋経済学要論」は近代経済学の礎を築き、その後の経済学研究に多大な影響を与え続けました。