ワットの蒸気機関の改良の仕組み
ニューコメン機関の課題
18世紀初頭にトーマス・ニューコメンによって実用化された蒸気機関は、当時の革新的な発明でしたが、いくつかの課題を抱えていました。
ワットによる最初の重要な改良：分離凝縮器
ジェームズ・ワットは、ニューコメン機関の熱効率の悪さに着目し、1765年に **分離凝縮器** を発明しました。
### 分離凝縮器の仕組みと利点
ニューコメン機関では、シリンダー内で蒸気を冷やして凝縮させていましたが、シリンダー自体が冷却されるため、次のサイクルで蒸気を送り込む際に再び加熱する必要があり、エネルギーの無駄が大きかったのです。
ワットは、シリンダーとは別に **分離凝縮器** を設けることで、シリンダーを常に高温に保ち、熱効率を大幅に向上させました。
ワットによるその他の改良点
* **動力伝達機構の改良**: 往復運動を回転運動に変換する **遊星歯車機構** を導入し、ポンプ以外の用途にも使用できるようになりました。
* **複動式エンジンの開発**: 蒸気をシリンダーの両側に交互に作用させることで、出力を増加させました。
* **出力調整機構**: 蒸気の供給量を調整することで、エンジンの出力と回転数を制御することを可能にしました。
これらの改良により、ワットの蒸気機関は従来のものよりもはるかに効率的で汎用性が高くなり、産業革命の原動力となりました。
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