ワイルドの獄中記を読む
獄中記という形式
「獄中記」は、作者が自身の体験に基づいて、獄中での生活や心情を綴った文学作品です。特に、冤罪や政治犯として収監された人物による獄中記は、当時の社会状況や権力に対する告発として、読者に強いメッセージを与えることがあります。
オスカー・ワイルドについて
オスカー・ワイルドは、19世紀末のイギリスを代表する劇作家であり、詩人、小説家、批評家としても活躍しました。「サロメ」や「理想の夫」などの戯曲で知られ、そのウィットに富んだ言葉は現在も人々を魅了しています。
「獄中記」の時代背景
オスカー・ワイルドは、1895年、同性愛の罪で2年間の重労働を伴う懲役刑を言い渡されました。当時のイギリスでは、同性愛は違法とされており、社会的な偏見も根強く残っていました。ワイルドは、この事件によって名声と社会的地位を失い、その後の人生に大きな影を落とすことになります。
「獄中記」の内容
「獄中記」は、ワイルドが獄中で綴った手紙や詩、エッセイなどをまとめた作品です。当初は「獄中からの手紙」というタイトルで発表され、後に「De Profundis」というタイトルで出版されました。「De Profundis」はラテン語で「深淵より」を意味し、ワイルドの絶望と苦悩、そして自己と向き合う姿が赤裸々に描かれています。
「獄中記」では、劣悪な環境下での生活、肉体的・精神的な苦痛、愛や友情、芸術に対する想いが綴られています。また、ワイルドは、自身の罪と向き合い、苦悩しながらも、魂の救済と再生を模索していきます。