ロビンソンの資本蓄積論を読む前に
経済学の基礎知識
ジョーン・ロビンソンの『資本蓄積論』は、高度に抽象的な理論経済学の書です。そのため、読解には経済学の基礎知識が不可欠となります。
まず、ミクロ経済学の基本的な概念である、需要と供給、価格メカニズム、市場均衡などを理解しておく必要があります。これらの概念は、ロビンソンの議論の基礎となる市場経済のメカニズムを理解する上で重要です。
次に、マクロ経済学の基礎も必要となります。特に、国民所得、消費、投資、政府支出といった概念や、ケインズ経済学の基本的な枠組みを理解しておくことが望ましいでしょう。ロビンソンはケインズ経済学の影響を強く受けており、彼女の議論を理解するためにはケインズ経済学の知識が役に立ちます。
マルクス経済学の理解
ロビンソンはマルクス経済学の影響を強く受けた経済学者であり、『資本蓄積論』もマルクスの『資本論』を批判的に継承した著作です。
そのため、『資本蓄積論』を深く理解するためには、マルクス経済学の基本的な概念、特に資本主義経済における搾取、階級闘争、資本蓄積といった概念を理解しておく必要があります。
また、マルクスの価値論や剰余価値論についても、ある程度の知識があると、ロビンソンの議論をより深く理解することができます。
新古典派経済学への批判的な視点
ロビンソンは、当時の主流経済学であった新古典派経済学を批判的に見ていました。『資本蓄積論』も、新古典派経済学に対する批判を重要な柱としています。
そのため、『資本蓄積論』を読む前に、新古典派経済学の基本的な考え方や限界について、ある程度理解しておくことが望ましいでしょう。特に、完全競争市場、合理的期待形成、市場均衡といった新古典派経済学の中心的な概念に対する批判的な視点を養うことが重要です。