## ロビンソンの資本蓄積論の思想的背景
マルクス経済学からの影響
ジョーン・ロビンソンは、マルクス経済学から大きな影響を受けました。彼女の代表作である『資本蓄積論』は、マルクスの『資本論』を意識して書かれたと言われています。具体的には、以下の点でマルクスの影響が見られます。
* **資本主義経済の矛盾への着目:** ロビンソンは、マルクスと同様に、資本主義経済には本質的な矛盾が存在し、それが経済危機や不平等を生み出すと考えていました。
* **搾取の概念の導入:** ロビンソンは、マルクスの搾取論を継承し、資本主義社会における利潤は労働者の搾取によって生み出されると主張しました。
* **階級闘争の重要性:** ロビンソンは、マルクスと同様に、資本家階級と労働者階級の間の対立が資本主義経済の動態を理解する上で重要であると考えていました。
ケインズ経済学からの影響
ロビンソンは、ケインズ革命にも大きな影響を受けました。彼女は、ケインズの弟子の一人であり、彼の思想を継承・発展させました。『資本蓄積論』においては、ケインズ経済学の影響は主に以下の点に見られます。
* **有効需要の原理:** ロビンソンは、ケインズと同様に、有効需要が資本主義経済の成長と雇用を決定する重要な要因であると考えました。
* **不完全競争の重視:** ロビンソンは、現実の資本主義経済においては、完全競争ではなく、不完全競争が支配的であると主張し、ケインズの分析をより現実的なものへと発展させました。
* **政府の役割の重視:** ロビンソンは、ケインズと同様に、資本主義経済の不安定性を克服し、完全雇用を達成するためには、政府による積極的な介入が必要であると考えました。
カラードによる影響
ロビンソンは、ケンブリッジ大学の同僚であった経済学者ピエロ・スラッファの業績からも大きな影響を受けました。スラッファは、マルクスの再生産表に着想を得て、価格の決定メカニズムを分析しました。ロビンソンは、スラッファの分析を取り入れることで、『資本蓄積論』において、分配、成長、価格の関係をより厳密に分析しようと試みました。
これらの思想的背景に加え、ロビンソンは、リカードやマルサスなど、古典派経済学からも影響を受けていました。彼女は、これらの経済学者の思想を批判的に継承しつつ、独自の経済理論を構築していきました。