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ロビンソンの資本蓄積論の原点

## ロビンソンの資本蓄積論の原点

主要な影響源

ジョーン・ロビンソンの資本蓄積論は、複数の経済学派や思想家の影響を受けています。中でも特に重要なのは、以下の3つです。

* **ケインズ経済学:** ロビンソンは、ケインズの『雇用・利子および貨幣の一般理論』に深い影響を受けました。特に、有効需要の原理、不完全雇用均衡の可能性、投資乗数の概念などは、ロビンソンの資本蓄積論においても重要な役割を果たしています。

* **マルクス経済学:** ロビンソンは、マルクスの資本論を精読し、その分析方法や資本主義経済に対する批判的な視点を吸収しました。特に、資本の有機的構成の高まりによる利潤率の低下傾向や、資本主義経済における階級闘争の重要性などは、ロビンソンの資本蓄積論にも影響を与えています。

* **リカード経済学:** ロビンソンは、リカードの分配論や価値論を高く評価し、その影響を色濃く受けました。特に、労働価値説に基づいた相対価格の決定メカニズムや、地代の概念などは、ロビンソンの資本蓄積論においても重要な役割を果たしています。

ロビンソンの独自性

上記のような影響源を踏まえながらも、ロビンソンの資本蓄積論は独自の分析視点を提供しています。特に、以下の2点は、ロビンソンの独創性を示すものです。

* **不完全競争市場の導入:** ロビンソンは、現実の資本主義経済においては、完全競争市場ではなく、不完全競争市場が支配的であることを重視しました。そして、企業の価格設定行動や市場構造が、資本蓄積や分配に与える影響を分析しました。

* **時間と期待の役割の重視:** ロビンソンは、資本蓄積が時間を通じて行われるプロセスであることを強調し、企業の投資決定における期待の役割を分析しました。そして、不確実性や将来の見通しに関する企業の予想が、資本蓄積の変動に大きな影響を与えることを明らかにしました。

ロビンソンの資本蓄積論は、ケインズ経済学、マルクス経済学、リカード経済学といった先行研究の成果を独自の方法で統合し、現実の資本主義経済のメカニズムを解明しようとする野心的な試みでした。

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