ロックの統治二論の関連著作
### **リヴァイアサン (1651年)**
トーマス・ホッブズによって書かれた『リヴァイアサン』は、社会契約説に基づいた国家論を展開した古典的名著であり、ロックの『統治二論』に大きな影響を与えた作品として知られています。
ホッブズは、国家が存在しない自然状態では「万人の万人に対する闘争」が繰り広げられ、人間の生活は「孤独で、貧しく、不快で、獣的で、短いもの」であると主張しました。 このような状態から脱却するために、人々は自然権の一部を放棄し、絶対的な権力を持つ主権者に統治を委ねることによって、安全と秩序を確保する社会契約を結ぶとホッブズは論じました。
ホッブズの主張は、当時のイングランド内戦や清教徒革命といった社会不安を背景に、秩序と安定を強く求める思想を反映したものでした。 彼の絶対君主制を擁護する論は、後のロックの思想とは対照的なものですが、社会契約論という共通の基盤を持つ点で、『統治二論』を理解する上で重要な関連性を持ちます。
### **市民政府二論 (1689年)**
ジョン・ロックによって書かれた『市民政府二論』は、国家の起源、目的、正当な統治の形態について考察し、近代政治思想の基礎を築いた古典的名著です。 特に第二論文は、自然権、社会契約、抵抗権といった概念を展開し、後のアメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも影響を与えたことで知られています。
ロックは、ホッブズと同様に自然状態の概念を用いながらも、そこでは自然法が作用し、個人が生命、自由、財産といった自然権を inherent に有すると主張しました。 そして、国家はこれらの自然権をより確実に保障するために、被治者の同意に基づいて設立されると論じました。 さらに、政府が自然権を侵害する場合には、人民は抵抗する権利を持つと主張し、専制政治を否定しました。
『統治二論』は、名誉革命によってイギリスに立憲君主制が成立した歴史的文脈の中で書かれ、議会主権や個人の権利を擁護する思想的根拠を与えました。 その後、ロックの思想は、近代民主主義の発展に大きな影響を与え、現代の政治哲学においても重要な議論の的となっています。