## ロックの統治二論の話法
### 1. 明確な定義と論理的な推論
ロックは『統治二論』において、自然状態、自然法、所有権といった重要な概念を明確に定義することから議論を始めます。例えば、自然状態は「いかなる人間の上にも立法権力を有する共通の上司が存在しない状態」と定義されます。このような定義に基づき、ロックは論理的な推論を進めていきます。
自然状態において全ての人間は平等であり、自由であり、自然法に従って生きる権利を持つとされます。自然法は自己保存の権利や他者の権利を侵害しないことを義務づけます。この自然法から、ロックは人民が自らの権利を保護するために政府を設立する契約論へと議論を展開させていきます。
### 2. 聖書からの引用の限定的な利用
当時の政治思想において、聖書は重要な典拠として用いられていました。しかしロックは『統治二論』において、聖書からの直接的な引用を比較的少なく抑えています。これは、聖書の解釈をめぐる論争を避けるため、また、より普遍的な読者に訴求するためと考えられます。
ロックは理性に基づいた議論を重視し、聖書はあくまでも補足的な役割として位置づけています。
### 3. 平易な言葉と比喩表現
『統治二論』は、専門家だけでなく、一般の人々にも読まれることを想定して書かれています。そのため、ロックは難解な専門用語を避け、平易な言葉で表現しています。
また、抽象的な概念を分かりやすく説明するために、比喩表現も効果的に用いられています。例えば、政府を「夜警国家」に喩えることで、政府の役割を限定的に捉えるべきという考えを明確に示しています。
このような平易な言葉遣いと比喩表現によって、『統治二論』は広く読者に受け入れられ、大きな影響を与えることになりました。