ロックの政府論を読む
ロックの思想を理解する上で重要
ジョン・ロックの『統治二論』(1689年)は、近代政治思想の古典として広く認められています。ロックは、自然状態、自然権、社会契約、抵抗権といった概念を用いて、絶対王政に対する痛烈な批判を展開し、近代立憲主義の基礎を築いたと評価されています。
『統治二論』の内容と構成
『統治二論』は、第一論と第二論の二部構成となっています。第一論は、ロバート・フィルマーの『父権論』(1680年)に対する批判に費やされています。フィルマーは、国王の絶対的な権力は神から与えられたものであり、人民は国王に無条件に服従する義務があると主張していました。ロックは、聖書の解釈や歴史的事実を根拠に、フィルマーの主張を論駁していきます。
第二論では、ロック自身の政治思想が展開されます。ロックは、自然状態においてすべての人間は自由かつ平等であり、生命、自由、財産といった自然権を有していると主張します。人々は、これらの自然権をより確実に保障するために、社会契約によって政治社会を形成し、政府を設立します。政府の権力は、人民の同意に基づくものであり、人民の権利を侵害する政府に対しては、抵抗する権利が認められます。
現代社会における意義と解釈の多様性
ロックの思想は、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言など、近代の諸革命に大きな影響を与えました。現代においても、個人の自由と権利、法の支配、立憲主義といった価値観は、ロックの思想を源流としています。
一方で、ロックの思想は、所有権の絶対化や国家による介入の制限など、現代社会の課題との関連で批判的に検討されることもあります。また、ロックの思想は、リベラリズム、共和主義、自由主義など、様々な政治思想の源泉とみなされており、その解釈をめぐっては現在も活発な議論が交わされています。