## ロックの寛容についての書簡を読む
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ジョン・ロックと「寛容についての書簡」
ジョン・ロック(1632-1704)は、イギリスの哲学者であり、政治思想家です。彼は、近代西洋における自由主義の父祖の一人として知られ、その思想は、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言にも大きな影響を与えました。
「寛容についての書簡」(Letter Concerning Toleration)は、ロックが1689年に匿名で発表した書物です。この書物は、当時のヨーロッパで激しかった宗教的対立を背景に、国家による信仰の自由の保障を訴えたものです。
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書簡の内容
「寛容についての書簡」の中で、ロックは、国家の権力が市民の宗教的信念にまで及ぶべきではないと主張します。彼は、国家の目的は、市民の財産、生命、自由を外敵や内乱から守ることであると定義し、個人の魂の救済はその範囲外であるとしました。
ロックは、国家が特定の宗教を優遇したり、弾圧したりすることは、社会の秩序を乱し、内乱を招きかねないと警告しています。また、彼は、信仰は強制によって生まれるものではなく、個人の内面的な conviction によってのみ成立すると考えました。
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歴史的背景
「寛容についての書簡」が書かれた17世紀後半のヨーロッパは、宗教改革以降、カトリックとプロテスタントの対立が激化し、多くの血が流された時代でした。ロック自身も、宗教的な対立を避けるために、イギリスから亡命を余儀なくされた経験を持っていました。
このような時代背景の中、ロックは、「寛容についての書簡」において、宗教の自由を訴えるだけでなく、異なる宗教が共存していくための具体的な方法を提示しました。