## ロックの人間知性論の表現
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観念
ロックは、人間の心は生まれた時は白紙の状態(タブラ・ラサ)であり、経験を通してのみ知識が得られると主張しました。そして、この経験を通じて心に刻印されるものを「観念」と呼びました。
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観念の起源:感覚と反省
ロックは、観念の起源を二つに大別しました。一つは五感を通して外界から受け取る「感覚」であり、もう一つは心の内的な働きである「反省」です。感覚は、色、形、音、味、匂いといった単純な観念をもたらします。一方、反省は、思考、疑い、信念、推理といった心の働きを観察することで得られる観念を生み出します。
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単純観念と複合観念
ロックは、観念を「単純観念」と「複合観念」に分類しました。単純観念は、感覚や反省から直接得られる、それ以上分解できない要素的な観念です。一方、複合観念は、複数の単純観念が結びついて構成される、より複雑な観念です。例えば、「赤いリンゴ」という観念は、「赤」という単純観念と「リンゴ」という単純観念が結びついた複合観念です。
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観念の結合:心の働き
ロックは、心が受動的に観念を受け取るだけでなく、能動的に観念を操作する力を持つとしました。そして、心はこの力によって、単純観念を結合して複合観念を作り出したり、観念同士を比較したり、抽象化したりすることができると考えました。
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言語と観念の関係
ロックは、言語を「観念を伝達するための記号」と捉えました。言葉は、私たちが心に抱く観念を他者に伝えるために用いられるものであり、言葉そのものに本質的な意味はないとしました。