## レーニンの国家と革命の選択
レーニンの国家観
レーニンは、国家を階級対立の産物、すなわち支配階級が被支配階級を抑圧するための暴力装置として理解していました。彼は、あらゆる国家は本質的に階級的であり、支配階級の利益を守るために存在すると主張しました。彼の見解では、国家は搾取と抑圧の道具であり、真の平等と自由を実現するためには、国家そのものを完全に廃絶する必要があると考えられていました。
プロレタリア独裁
しかし、レーニンは国家の即時廃絶を主張したわけではありませんでした。彼は、資本主義社会から共産主義社会への移行期には、プロレタリアートが国家権力を掌握し、「ブルジョアジーに対するプロレタリアートの組織された暴力」として機能する「プロレタリア独裁」が必要であると主張しました。このプロレタリア独裁は、旧体制の残党を排除し、新しい社会主義的な経済・社会秩序を構築するための手段とみなされました。
国家の廃絶
レーニンは、プロレタリア独裁は一時的な措置であると強調していました。彼は、階級対立が解消され、共産主義社会が実現した暁には、国家はもはや必要なくなり、自然消滅していくと考えていました。この最終的な目標である「国家の廃絶」は、マルクスの思想を継承したものであり、レーニンの思想の中核をなすものでした。
レーニンの選択
レーニンの選択は、「暴力革命による国家権力の掌握」と「プロレタリア独裁による国家の強化」、そして最終的な「国家の廃絶」という一見矛盾する目標を掲げていました。これは、資本主義社会から共産主義社会への移行期における現実的な方策と理想的な目標を両立させようとした試みとして解釈することができます。