レヴィ＝ストロースの野生の思考を読んだ後に読むべき本
人類学者と預言者、E. E. エヴァンズ＝プリチャード著
エヴァンズ＝プリチャードによる『ヌアー族』と『アフリカの政治体制』は、レヴィ＝ストロースの『野生の思考』と同じくらい人類学において重要な古典として挙げられます。彼は、レヴィ＝ストロースが構造主義を展開していく上で重要な論敵でした。レヴィ＝ストロースが、未開社会の思考様式を分析する上での普遍的な構造を探求しようとしたのに対し、エヴァンズ＝プリチャードは、文化相対主義的な立場から、それぞれの文化が独自の論理と歴史的文脈の中で理解されるべきだと主張しました。
『ヌアー族』は、スーダンのヌアー族の社会構造、政治制度、宗教的観念を詳細に記述した民族誌です。エヴァンズ＝プリチャードは、ヌアー族が家畜と密接に結びついた生活を送っており、その社会構造が家畜の所有と血縁関係によって規定されていることを明らかにしました。また、ヌアー族が独自の宇宙観と宗教体系を持っており、それが彼らの日常生活に深く浸透していることを示しました。
『アフリカの政治体制』は、アフリカの様々な部族社会における政治制度の比較研究です。エヴァンズ＝プリチャードは、中央集権的な国家が存在しない部族社会においても、秩序と安定が保たれていることを示し、そのメカニズムを分析しました。彼は、部族社会における政治権力が、血縁関係、年齢集団、宗教的権威など、様々な要素によって構成されていることを明らかにしました。
エヴァンズ＝プリチャードの著作を読むことで、レヴィ＝ストロースの構造主義に対する批判的な視点を養うことができます。また、文化相対主義の重要性や、それぞれの文化が独自の論理と歴史的文脈の中で理解されるべきであることを学ぶことができます。