## ル・コルビュジェの輝く都市の感性
近代都市への幻滅と新しい秩序への希求
ル・コルビュジェは、20世紀初頭の都市が抱える混沌と不衛生、非効率性に強い嫌悪感を抱いていました。当時の都市は、産業革命の影響で人口が急増し、スラム街の形成や伝染病の蔓延など、様々な社会問題を引き起こしていました。彼は、このような状況を「混乱の極み」と捉え、近代建築の理念に基づいた、合理的で機能的な都市の必要性を強く訴えました。
機械的美と機能主義
ル・コルビュジェは、自動車や飛行機といった近代技術の象徴である「機械」に美を見出し、都市計画にもその原理を取り入れようとしました。彼の提唱した「輝く都市」は、高層ビル群を緑豊かな公園で囲み、高速道路網で結ぶという、幾何学的で秩序立った構造が特徴です。これは、都市を一つの巨大な機械として捉え、それぞれの要素が効率的に機能することで快適な生活を実現するという、彼の機能主義的な思想を反映しています。
自然との共存
「輝く都市」は、コンクリートとガラスで構築された無機質な空間ではなく、自然との調和も重視されていました。高層ビルの屋上庭園や広大な公園は、都市に緑と開放感をもたらし、住民に健康的な生活環境を提供することを目的としていました。これは、当時の都市では失われつつあった自然とのつながりを取り戻し、人間性の回復を図るという、彼の理想主義的な側面を表しています。
モダニズムの光と影
ル・コルビュジェの「輝く都市」は、合理的で機能的な都市モデルとして、その後の都市計画に大きな影響を与えました。しかし一方で、その画一的な都市構造や、既存の都市構造を完全に破壊してまで新しい都市を建設しようとする大胆な発想は、批判の対象にもなってきました。彼の提唱した都市計画は、モダニズムの光と影を象徴するものとして、現在もなお議論の的となっています。