## ルターのキリスト者の自由の原点
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ローマ人への手紙とガラテヤ人への手紙
ルターは、
**ローマ人への手紙**と**ガラテヤ人への手紙**を、自らの神学的見解、特に「義認論」を形成する上で最も重要な聖句としていました。これらの書簡は、「人は律法ではなく、信仰によってのみ義とされる」という考えを強調しており、ルターはこれを革命的な発見として受け止めました。
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アウグスティヌスの影響
ルターは、教会の伝統、特に**アウグスティヌス**の著作から大きな影響を受けました。アウグスティヌスは、人間の堕落した本性と神の恩寵の必要性を強調し、信仰のみによる義認の教理を発展させました。ルターはアウグスティヌスの著作を研究することで、自らの神学的見解を深め、発展させていきました。
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贖宥状販売への批判
1517年、ルターは当時の教会の腐敗した慣習、特に**贖宥状販売**に対して**95ヶ条の論題**を提示し、公然と批判しました。贖宥状とは、金銭と引き換えに罪の償いを減免するという制度でしたが、ルターはこれを聖書の教えに反するものと見なしていました。
ルターは、真の悔い改めは内面的なものであり、金銭で購入できるものではないと主張しました。この批判は、宗教改革の口火を切る出来事となり、ルターの神学的見解と結びついて、キリスト者の自由という概念を生み出す重要な要因となりました。