## ルソーの学問芸術論の構成
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序論
学問と芸術の復興が風俗の浄化をもたらしたのか、それとも堕落をもたらしたのかというディジョン学士院の懸賞論文のテーマを見たとき、ルソーは「別の考え」がひらめいたと述べています。
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第一部
ルソーは、人間は本来幸福であったはずなのに、社会と進歩によって堕落させられたと主張します。そして、学問と芸術は人間の不平等を覆い隠し、悪徳と退廃を広げることで、この堕落に寄与してきたと論じます。
第一部は、古代ギリシャ、ローマ、エジプト、そして中国といった古代文明を例に挙げながら展開されます。ルソーは、これらの文明における学問と芸術の発展が、必ずしも道徳的な向上や人々の幸福に結びついていなかったと主張します。むしろ、贅沢、虚栄、そして偽善を生み出すことで、人々の堕落を招いたと論じます。
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第二部
第二部では、第一部の議論をさらに発展させ、学問と芸術が人間の精神に与える具体的な影響について考察します。ルソーは、学問は人間の自然な能力を阻害し、芸術は現実逃避と虚構の世界に人々を閉じ込めることで、真の徳と幸福から遠ざけると主張します。
さらに、ルソーは学問と芸術が社会にもたらす負の影響についても言及します。学問は社会における不平等を固定化し、芸術は権力者たちの道具として利用されることで、人々を支配し、抑圧するために利用されると批判します。
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結論
ルソーは明確な結論を提示する代わりに、学問と芸術の進歩がもたらす問題提起を行うことを選択します。そして、真の幸福と徳を追求するためには、自然状態への回帰を目指す必要があると示唆します。