## ルソーの学問芸術論の仕組み
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問いかけ
ルソーの『学問芸術論』は、ディジョンアカデミーの懸賞論文の問いかけ「学問芸術の復興は風俗の浄化に貢献したか」に対して、「否」と答える論考です。ルソーはこの問いかけを、大きく二つの問いとして解釈します。
* 学問芸術は進歩したのか
* その進歩は道徳を向上させたのか
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構成
ルソーはまず、古代ギリシャ・ローマを理想化し、当時の幸福な状態と、学問芸術が存在しなかったことを対比します。そして、学問芸術の誕生と発展が、人間の堕落、道徳の退廃をもたらしたと主張します。
ルソーは、論考の中で歴史的な事例や人物を多く用いながら議論を進めます。例えば、古代ギリシャのスパルタとアテネを対比し、質実剛健な社会を維持したスパルタを賞賛し、学問芸術が発展したアテネを批判します。また、ソクラテスやカトーといった人物を例に挙げ、学問芸術が人間を偽善的にし、真の徳から遠ざけると主張します。
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論点
ルソーは、学問芸術が人間にもたらす弊害として、以下のような点を指摘します。
* **虚栄心:** 学問芸術は、人々に知識や才能をひけらかすことを促し、虚栄心を助長する。
* **贅沢:** 学問芸術は、人々の欲望を刺激し、贅沢な生活を求めるようになる。
* **偽善:** 学問芸術は、人々に外面的な美しさや言葉の巧みさを重視させ、内面的な美徳を軽視させる。
ルソーは、こうした弊害が、社会全体の道徳を低下させると主張します。
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影響
『学問芸術論』は、当時の社会に大きな衝撃を与え、賛否両論の激しい議論を巻き起こしました。この作品は、啓蒙主義の楽観的な人間観や進歩史観に異議を唱え、後のロマン主義や反文明思想に大きな影響を与えました。
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