## ルソーのエミールの主題
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自然な教育
ルソーの『エミール』は、当時の社会において支配的であった形式的な教育システムを批判し、自然な人間の善性を育むことを重視した「自然な教育」を提唱しています。ルソーは、人間は生まれながらにして善であり、社会の悪影響によって堕落すると考えていました。
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人間の自然な発達段階に合わせた教育
『エミール』は、架空の少年エミールの誕生から青年期までの教育を、年齢ごとに区切りながら具体的に描いています。 ルソーは、人間の成長を、感覚、理性、道徳性の発達という段階に分け、それぞれの段階に適した教育方法があるとしました。
例えば、幼年期には感覚的な経験を通して自然と触れ合い、青年期には理性的な思考力を養うために読書や対話を重視するといった具合です。
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社会との関係
ルソーは、人間は社会的な存在であることを認めつつも、当時の社会制度や慣習が人間の自然な状態を歪めていると批判しました。
『エミール』では、エミールが社会と関わりを持つ前に、自然の中で自立した人間として成長することが重要だとされています。
そして、成人して社会に出る際には、社会の悪影響を受けずに、理性と良心に基づいて行動できる人間となることを目指します。
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宗教教育
ルソーは、伝統的な宗教教育にも批判的でした。彼は、教義や儀式を押し付けるのではなく、自然な感情に基づいた宗教心を育むことが大切だと考えました。
『エミール』では、エミールは青年期になるまで具体的な宗教について教えられることはありません。
自然の中で神の存在を感じ取ること、そして理性と良心に従って生きることを通して、自然な宗教心を育んでいくことが描かれています。