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ルイスのナルニア国物語から学ぶ時代性

## ルイスのナルニア国物語から学ぶ時代性

ルイスの生きた時代背景と作品への影響

C.S.ルイスが生きた1898年から1963年にかけての世界は、二つの世界大戦や冷戦、植民地支配の終焉など、激動の時代でした。アイルランドに生まれ、幼少期に第一次世界大戦を経験したルイスは、戦争の悲惨さや社会の不安定さを目の当たりにしました。これらの経験は、ナルニア国物語の世界観や登場人物の行動に大きな影響を与えていると考えられます。

例えば、「ライオンと魔女」に登場する白い魔女は、恐怖と暴力でナルニアを支配する存在として描かれており、当時の全体主義国家を彷彿とさせます。また、ペベンシー家の4人の子供たちは、戦争で両親と離れて暮らすことになり、不安定な現実世界からナルニアという幻想世界へと逃避します。これは、当時の子供たちが戦争によって心に深い傷を負っていたことや、現実逃避を求めていたことを反映しているのかもしれません。

キリスト教的世界観と道徳観の反映

敬虔なキリスト教徒であったルイスは、ナルニア国物語に自身の宗教観を色濃く反映させています。特に、「ライオンと魔女」におけるアスランの自己犠牲は、イエス・キリストの贖罪を象徴していることは有名です。

また、ナルニアの世界では、善と悪が明確に分けられており、登場人物たちは道徳的な選択を迫られます。これは、当時のイギリス社会においても重要な価値観であったキリスト教の道徳観を反映していると言えるでしょう。

一方で、ルイスはキリスト教の教義を押し付けるようなことはせず、子供たちが自然と道徳的な問題について考えることができるように、物語の中に巧みに織り交ぜています。

ジェンダー roles と社会通念

ナルニア国物語に登場する女性キャラクターは、当時の社会通念を反映し、受動的な役割を担うことが多い点が指摘されています。例えば、「カスピアン王子の角笛」に登場するルーシーは、勇敢で行動力のある一面を見せるものの、最終的には男性キャラクターの指示に従う場面が目立ちます。

これは、ルイスが生きていた時代のジェンダー roles が、現代に比べて明確に分けられていたことを反映していると考えられます。

一方で、ナルニア国物語には、勇敢で知的な女性キャラクターも登場します。例えば、「馬と少年」の主人公シャスタと共に旅をするアラビスは、自らの運命を切り開こうとする強い意志を持った女性として描かれています。

このように、ナルニア国物語における女性像は、必ずしも一面的ではなく、当時の社会通念とルイス自身の複雑な視点が反映されていると言えるでしょう。

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