リカードの経済学および課税の原理の構成
序言
リカードは本書の目的を、経済学における重要な法則、すなわち地代は常に資本および労働の使用に対する支払いを増加させる原因となるのであって結果ではない、を明らかにすることだと述べています。また、この法則が経済の様々な側面、特に利潤、賃金、価格に与える影響を分析することを目的としています。
第1章 地代について
本章では、地代の概念を定義し、その発生源を説明しています。リカードは、地代は土地の質の差によって生じることを論じています。肥沃度や立地の良さなどの自然的優位性を持つ土地は、より多くの生産物を産出するため、高い地代を生み出すというものです。
第2章 地代が農産物の価格に与える影響
本章では、地代と農産物価格の関係を分析しています。リカードは、農産物価格は生産に必要とされる費用によって決まり、地代はその費用の一部ではないと主張します。むしろ、農産物価格が上昇することで地代が発生すると説明しています。
第3章 地主、資本家および労働者の分け前について
本章では、生産要素である土地、資本、労働のそれぞれの所有者、すなわち地主、資本家、労働者がどのように分配されるかを論じています。リカードは、地代の上昇は資本家の利潤を圧迫し、労働者の賃金を低下させると主張します。
第4章 自然および市場価格について
本章では、自然価格と市場価格の概念を区別し、その関係を説明しています。自然価格は、生産に必要な労働量によって決まる価格であり、市場価格は需要と供給の関係によって変動する価格です。
第5章 賃金について
本章では、賃金の決定要因を分析しています。リカードは、賃金は労働者の生存に必要な生活必需品の価格によって決まるという「鉄の法則」を提唱しています。
第6章 利潤について
本章では、利潤の決定要因を分析しています。リカードは、利潤は賃金と地代の残余として決定されると主張し、地代の上昇は利潤を低下させると論じています。
第7章 外国貿易について
本章では、国際貿易の原理を説明し、比較優位に基づく自由貿易の利益を主張しています。リカードは、各国が自国にとって最も有利な商品を専門的に生産し、貿易を行うことで、すべての国が利益を得ることができると論じています。
第8章 税について
本章では、課税の経済的影響について分析しています。リカードは、税金は生産要素の配分を歪め、経済全体の効率性を低下させると主張しています。
第31章(最終章) 機械導入の影響について
本章では、産業革命期にイギリスで深刻化していた機械導入による失業問題について論じています。リカードは、機械導入は短期的には労働者の失業を引き起こす可能性があるものの、長期的には経済全体に利益をもたらすと結論づけています。