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リカードの経済学および課税の原理の仕組み

## リカードの経済学および課税の原理の仕組み

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価値の理論

リカードは、商品の価値はその生産に必要な労働量によって決まるとする「労働価値説」を主張しました。これは、アダム・スミスから受け継いだ考え方ですが、リカードはそれをより精緻化しました。

具体的には、商品の価値を決定づけるのは、その商品を生産するために直接的に投入された労働だけでなく、その労働者を支えるために必要な生活必需品(食料、衣服、住居など)の生産に間接的に投入された労働も含めるとしました。これを「労働の投下量」と呼びます。

さらに、生産に投下される労働量は、労働の質や生産性によって異なるため、単純な労働時間ではなく、「社会的必要労働時間」によって価値が決まるとしました。これは、社会全体の平均的な生産技術水準のもとで、ある商品を生産するために必要な労働時間のことです。

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地代の理論

リカードは、地代を「土地の原野の状態からの産物に帰せられる部分」と定義し、差額地代説を展開しました。これは、土地の肥沃度や立地の優劣によって生産性が異なり、その差額が地代として発生するというものです。

具体的には、まず最も肥沃な土地が耕作され、需要の増加に伴い、次第に肥沃度の低い土地も耕作されるようになります。このとき、最も肥沃な土地の生産物価格によって市場価格が決まり、他の土地は、その価格と自身の生産コストとの差額を地代として地主に支払うことになります。

リカードは、人口増加と資本の蓄積によって耕作地が拡大し、地代が上昇していく一方で、利潤率は低下していくと予測しました。

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分配の理論

リカードは、生産された富が賃金、利潤、地代の三者に分配されると考えました。そして、それぞれの分配比率は、経済成長の過程や人口増加、資本の蓄積などによって変化するとしました。

具体的には、賃金は労働力の再生産に必要な生活必需品の価格によって決まり、利潤は資本家による投資の対価として、生産された富から賃金と地代を差し引いた残余部分に相当するとしました。そして、地代は前述のように、土地の肥沃度や立地の差によって生じる差額地代として決定されます。

リカードは、経済成長に伴い、賃金は生存水準付近で推移し、利潤は低下していく一方で、地代は上昇していくと予測しました。これは、人口増加と資本の蓄積によって耕作地が拡大し、地代が上昇していく一方で、利潤率は低下していくという地代の理論と関連しています。

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国際貿易論

リカードは、国際貿易においても労働価値説を適用し、各国がそれぞれ最も得意とする分野に特化し、貿易を行うことで、全体の生産量が増加し、世界全体の利益になると主張しました。これを「比較優位の原理」と呼びます。

具体的には、たとえある国が全ての商品の生産において他国よりも優位に立っていたとしても、生産コストの低い商品に特化し、他の商品は貿易で入手した方が、より多くの財を享受できるとしました。

リカードは、国際貿易を通じて各国が比較優位を持つ分野に特化することで、世界全体の生産性が向上し、自由貿易は各国に利益をもたらすと主張しました。

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課税の原理

リカードは、課税が経済活動に与える影響を分析し、「租税は生産を阻害する」という観点から、課税の原則を提唱しました。

具体的には、課税は可能な限り、経済活動の阻害要因とならないように、公平性、明確性、簡素性、便宜性を重視すべきであるとしました。

リカードは、課税によって生産が阻害されることを避けるためには、課税対象を明確化し、税負担の公平性を確保することが重要であると主張しました。 また、複雑な税制は徴税コストを増大させるため、簡素で分かりやすい税制であることが望ましいとしました。

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