## ラッセルの数理哲学序説の構成
第1章 自然数
この章では、自然数という根本的な数学的概念を、論理的な観点から分析します。ラッセルは、自然数を集合論的概念を用いて定義しようと試みます。具体的には、”1″ を単一の要素からなるすべての集合の集合として定義し、後続の自然数を、集合の要素数に基づいて帰納的に定義していきます。
第2章 記述
この章では、ラッセルの論理学の中心概念である「記述」について詳しく解説します。記述とは、「…であるような唯一のもの」という形式を持つ句であり、特定の条件を満たす唯一の対象を表します。ラッセルは、記述を用いることで、自然言語における多くの文を、より厳密な論理的な形式に翻訳できると主張します。
第3章 クラスと関係
この章では、集合論の基礎となる概念である「クラス」と「関係」を扱います。ラッセルは、クラスを共通の性質を持つ対象の集まりと定義し、関係を対象間の特定の種類のつながりとして定義します。また、クラスと関係の性質について議論し、それらが数学的推論においてどのように使用されるかを説明します。
第4章 論理学
この章では、ラッセルとホワイトヘッドによって発展させられた記号論理学の基本的な概念と原理を紹介します。命題、命題関数、量化などの概念を説明し、それらを用いて数学的推論を形式化する方法を示します。
第5章 集合論における逆説
この章では、集合論に内在するいくつかの逆説、特にラッセル自身が発見した「ラッセルの逆説」について議論します。ラッセルは、これらの逆説が集合論の基礎に深刻な問題を提起することを示し、それらを解決するための方法を提案します。
第6章 類似性
この章では、「類似性」という概念を分析し、それが数学における推論においてどのような役割を果たすかを考察します。ラッセルは、類似性を異なる対象間の一種の対応関係として定義し、それが数学的概念の一般化や新たな数学的構造の発見につながると主張します。
第7章 無限
この章では、「無限」という概念を数学的な観点から考察します。ラッセルは、無限集合の性質について議論し、有限集合とは異なる独特の性質を持つことを示します。また、無限に関するカントールの理論を紹介し、それが数学に革命をもたらしたことを説明します。
第8章 推論における帰納法と類似性の関係
この章では、数学的推論における「帰納法」と「類似性」の関係について考察します。ラッセルは、帰納法が実際には類似性に基づく推論の一種であると主張し、帰納法の妥当性に対する伝統的な見解に疑問を呈します。
第9章 距離における経験の要素
この章では、数学、特に幾何学における経験の役割について考察します。ラッセルは、純粋数学が経験から独立しているという伝統的な見解を批判し、数学的概念の多くが実際には感覚経験に由来すると主張します。
第10章 カント哲学
この章では、カントの哲学、特に数学の認識論に関するカントの見解を批判的に検討します。ラッセルは、カントが数学を総合的先天的判断に基づくと考えたことを批判し、数学は実際には分析的判断に基づくと主張します。
第11章 数学と論理学の関係
この章では、数学と論理学の関係について、ラッセル自身の見解を展開します。ラッセルは、数学と論理学は本質的に同一であるという「論理主義」の立場を擁護し、数学のすべての真理が論理学の原理から導き出せると主張します。