ラシーヌのフェードルから得られるもの
古典主義悲劇の傑作に触れる
「フェードル」は、17世紀フランス古典主義演劇を代表する劇作家ジャン・ラシーヌによる韻文悲劇です。古代ギリシャの悲劇詩人エウリピデスの作品を題材とし、不倫、嫉妬、復讐といった普遍的なテーマを扱っています。作品に触れることで、古典主義演劇の特徴である三単一律（時間の単一性、場所の単一性、筋の単一性）や、高貴な登場人物たちが運命に翻弄される様、alexandrine verse（アレクサンドラン詩句）と呼ばれるフランス古典劇特有の韻律などを体感することができます。
人間の深層心理への洞察
主人公フェードルは、継子であるイッポリットに禁断の恋心を抱く悲劇の王妃です。理性ではその愛を否定しようとするものの、抑えきれない激情に苦悩し、破滅へと突き進んでいきます。彼女の葛藤を通して、人間の道徳と欲望、理性と情念の対立、罪悪感や自己嫌悪といった複雑な心理描写が浮き彫りになり、人間の深層心理へと迫ります。
運命と自由意志の考察
作中では、登場人物たちは神々の意志によって運命づけられた存在として描かれ、抗うことのできない宿命に翻弄されます。フェードルもまた、自身の恋心を呪われた血筋のせいだとし、運命に抗えないことを嘆きます。しかし、一方で、登場人物たちは自身の意志に基づいて行動し、その結果として悲劇的な結末を迎えることになります。運命論的な世界観の中で、人間の自由意志とは何か、責任はどこにあるのか、といった問いを投げかけています。
美しいフランス語の表現
「フェードル」は、ラシーヌの卓越した言語感覚によって紡ぎ出された美しいフランス語で書かれています。格調高く洗練された詩的な表現は、登場人物たちの心情や葛藤をより鮮やかに浮かび上がらせ、作品世界へと深く引き込みます。フランス文学の傑作に触れることで、その美しさや奥深さを堪能することができます。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。