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ラシーヌのアンドロマックの話法

## ラシーヌのアンドロマックの話法

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古典主義の規則に則った三単一の法則

ラシーヌは古典主義演劇の大家として、その作品「アンドロマック」においても**三単一の法則**を厳格に守っています。これは、作品の時間、場所、主題をそれぞれ一つに絞るという規則です。

* **時間の単一性:** 作品全体の出来事は、ギリシャ軍の勝利からアンドロマックの運命が決まるまでのおよそ24時間以内に収まっています。
* **場所の単一性:** 全ての場面は、エピールの宮殿内の異なる場所で行われます。
* **主題の単一性:** 作品の中心となる主題は、トロイ戦争の英雄ヘクトールの妻アンドロマックをめぐる愛憎劇です。

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高貴な人物による格調高い言語

「アンドロマック」は、ギリシャの王族やトロイアの王妃といった**高貴な身分の人物**たちによって構成されています。彼らの使用する言語は、古典的な韻文である**アレクサンドラン**で書かれ、洗練された表現や修辞技法が用いられています。これにより、作品全体に高貴で悲劇的な雰囲気が醸し出されています。

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情念の葛藤を描く心理劇としての側面

「アンドロマック」は、登場人物たちの**複雑な心理描写**が見事に表現された作品でもあります。愛、憎しみ、義務、復讐といった様々な感情が交錯し、登場人物たちは苦悩しながらも運命に翻弄されていきます。 特に、アンドロマック、ピュロス、エルミオンヌ、オレステスの四人の主要人物の心理描写は秀逸で、観客は彼らの苦悩に共感し、感情移入しながら物語に引き込まれていきます。

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弁論術を駆使した長台詞

「アンドロマック」では、登場人物たちの心情や葛藤を表現するために、**長台詞**が多く用いられています。 登場人物たちは自らの立場や感情を雄弁に語り、相手を説得しようと試みます。これらの長台詞は、古典的な弁論術の影響を強く受けており、論理的な構成と美しい言葉遣いが特徴です。

これらの話法を通して、ラシーヌは「アンドロマック」において人間の情念の深淵を描き出し、時代を超えて愛される悲劇を生み出したと言えるでしょう。

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