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ラシーヌのアンドロマックの発想

## ラシーヌのアンドロマックの発想

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古典と歴史に基づく題材

ラシーヌの『アンドロマック』は、ギリシャの詩人ホメロスによる叙事詩『イリアス』や、ローマの詩人ウェルギリウスによる叙事詩『アエネーイス』といった古典作品、およびそれらに描かれたトロイア戦争を題材としています。これらの作品は、古代ギリシャ・ローマ時代から広く知られており、ラシーヌの時代のフランスにおいても古典文学として高く評価されていました。

ラシーヌは、これらの古典作品から主要な登場人物や基本的なプロットを借用しつつ、自身の解釈や脚色を加えることで独自の悲劇作品を創り出しています。例えば、トロイア戦争の英雄アキレウスの息子ピュロスと、トロイアの王子ヘクトールの妻アンドロマックといった主要登場人物は、古典作品から受け継がれています。

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17世紀フランスの文脈における翻案

ラシーヌは、古代ギリシャ・ローマの物語を題材としながらも、17世紀フランスの宮廷社会における権力闘争や恋愛模様、そして人間の情念を投影しています。

当時のフランスは絶対王政の時代であり、宮廷内では権力や愛情をめぐる複雑な人間関係が繰り広げられていました。ラシーヌは、古代の物語を借りることで、当時の社会における人間の欲望や道徳、そして運命に対する苦悩を間接的に描き出しています。

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三単一原則の採用

ラシーヌは、『アンドロマック』において、古典主義演劇の三単一原則(時間の単一性、場所の単一性、 Handlung の単一性)を厳格に守っています。時間の単一性とは、劇中の時間が24時間以内に収まっていること、場所の単一性は、劇中の場所が1つの場所に限定されていることを指します。 Handlung の単一性は、劇中に描かれる筋書きが1つであることを意味します。

ラシーヌは、これらの原則に従うことで、劇の緊迫感や集中力を高め、登場人物の心理描写をより深く掘り下げています。

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