## ラサールの労働者綱領の表象
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ラサールの労働者綱領とは?
フェルディナント・ラサールは、19世紀ドイツの社会主義者、思想家、政治活動家です。彼は、プロイセンを基盤とした統一ドイツを目指し、国家による労働者階級の解放を主張しました。その思想の中核をなすのが、1862年に発表された「労働者綱領」です。
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労働者綱領の内容
ラサールの「労働者綱領」は、当時の労働者階級の窮状を訴え、その解決策を提示した政治パンフレットです。具体的な内容は以下の通りです。
* **普通選挙の実現:** ラサールは、労働者階級の政治参加を阻む最大の障壁として、当時のプロイセンに存在した制限選挙を批判し、男女を問わず、21歳以上の国民すべてに選挙権を与える「普通選挙」の実現を要求しました。
* **国家による生産組合の設立:** 資本主義経済における労働者の搾取を克服するために、国家が介入し、「生産組合」を設立することを主張しました。この組合は、労働者が自主的に運営し、生産手段を所有することで、労働の成果を労働者自身のものとすることを目指しました。
* **国家による労働者の保護:** 国家は、労働時間の制限、労働条件の改善、最低賃金の保証など、労働者を資本家の搾取から保護する役割を担うべきだと主張しました。
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労働者綱領の表象
ラサールの「労働者綱領」は、19世紀後半のドイツ労働者階級の間で広く読まれ、大きな影響を与えました。特に、普通選挙の実現と国家による社会改革という考え方は、後のドイツ社会民主党の綱領にも受け継がれ、ドイツにおける社会主義運動の発展に大きく貢献しました。
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労働者綱領への批判
ラサールの「労働者綱領」は、マルクス主義者からは、国家を重視するあまり、資本主義体制そのものを変革しようとする視点が欠如していると批判されました。マルクスは、国家は支配階級の道具に過ぎず、真の労働者解放は、国家権力を掌握したとしても実現不可能だと考えました。