モームの月と六ペンスの面白さ
モームの描く人間の業の深さ
「月と六ペンス」は、安定した生活を捨て、絵画に人生を捧げた男、チャールズ・ストリックランドの半生を描いた作品です。モームはストリックランドという特異な人物像を通して、人間の持つエゴイズムや芸術と狂気、社会の規範との葛藤といった普遍的なテーマを描き出しています。
ストリックランドは、妻や子供、社会的地位など、世間一般で「幸せ」とされるものを全て捨て去り、絵を描くことのみを追求します。彼の行動は、周囲の人間を困惑させ、傷つけますが、同時に、彼の絵に宿る圧倒的な力強さ、美しさは、彼を取り巻く人々を魅了してやみません。
モームは、ストリックランドの言動や、彼を取り巻く人々の反応を冷徹な筆致で描写することで、人間の持つ二面性、複雑さを浮き彫りにしています。読者は、ストリックランドの非道徳的な行動に嫌悪感を抱きながらも、彼の芸術に対する純粋な情熱に心を揺さぶられずにはいられないでしょう。
「月と六ペンス」という象徴的なタイトル
「月」はストリックランドが生涯をかけて追い求めた芸術、「六ペンス」は彼が捨て去った現実の生活を象徴しています。この対比的な二つの言葉は、作中で描かれる「理想と現実」「精神性と物質主義」といったテーマを象徴的に表しています。
読者は、ストリックランドの生き様を通して、「本当に大切なものとは何か」「自分にとっての幸福とは何か」といった根源的な問いを突きつけられることになります。
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読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。