## モームの人間の絆の話法
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視点
モームの『人間の絆』は、三人称限定視点で書かれています。これは、語り手が作中人物の一人の視点、特に主人公のフィリップ・ケアリーの視点から物語を語る形式です。フィリップの思考や感情は詳細に描写されますが、他の登場人物の内心は直接的には描かれません。
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語り口
語り口は客観的で、やや冷めたような印象を与えます。感情的な描写は控えめで、事実を淡々と描写していくスタイルが特徴です。これは、フィリップ自身の性格や、彼が置かれている状況を反映していると考えられます。
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文体
モームの文体は、簡潔で明瞭です。回りくどい表現や難解な比喩は少なく、読者にとって理解しやすい文章で書かれています。これは、モーム自身が目指した「明晰さ」を反映したものであり、物語の世界に没入しやすい一因となっています。