モーパッサンのベラミの面白さ
主人公デュロワの破天荒さとその成功
ジョルジュ・デュロワは、容姿端麗であることを除けば、能力も品性も欠けた男として描かれています。
彼は元軍人で、パリに出てきたばかりの貧乏な青年です。
しかし、持ち前の美貌と巧みな女性関係を利用して、瞬く間に社交界でのし上がっていきます。
その手段は、あくまでも自分の欲望を満たすためであり、倫理や道徳は完全に無視されています。
彼のこの破天荒で、ある意味純粋なまでの野心家ぶりが、読者を惹きつける要素の一つと言えるでしょう。
当時の社会に対する痛烈な風刺
本作は、19世紀後半のフランス第三共和政期のパリを舞台としています。
ジャーナリズムや政界、社交界など、当時の社会の様々な側面が、リアルに、そしてシニカルに描かれています。
デュロワは、そうした社会の腐敗や欺瞞を巧みに利用し、権力と富を手に入れていきます。
彼の成功は、裏返せば当時の社会の歪みを浮き彫りにするものであり、そこには痛烈な風刺が込められています。
魅力的な女性キャラクターたち
デュロワを取り巻く女性キャラクターたちも、本作の魅力を語る上で欠かせません。
彼を社会的地位へと導く、経験豊富な人妻マドレーヌ・フォレスティエ、
純粋で献身的な愛を捧げるが、デュロワに利用され続けるスザンヌ・ワルテルなど、
それぞれの思惑を持った女性たちが、デュロワとの関係を通して、その複雑な内面を露わにしていきます。
彼女たちの心理描写の巧みさも見どころです。
Amazonで詳細を見る
読書意欲が高いうちに読むと理解度が高まります。