メンガーの国民経済学原理を読むときのポイント
カール・メンガーの『国民経済学原理』は、経済学の歴史において重要な位置を占める一冊であり、オーストリア学派の創始者としての彼の思想が詰まっています。この著作を読む際には、いくつかの重要なポイントを押さえることが、理解を深める上で役立ちます。
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歴史的背景の理解
メンガーが『国民経済学原理』を執筆した19世紀後半は、経済学が古典派経済学から新しいパラダイムへと移行しようとしていた時期です。この時期の経済学界の主流であった古典派経済学に対する批判として、メンガーは彼の理論を展開しました。したがって、当時の経済学界の状況と古典派経済学に対するメンガーの批判的立場を理解することが、彼の理論を深く理解するための鍵となります。
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価値の主観性
メンガーの経済学の核心には、「価値の主観性」という概念があります。彼は、価値は個人の主観的評価によって決まると主張し、これは古典派経済学が主張する「価値の労働説」とは根本的に異なります。この点を理解することは、メンガーの理論の特徴をつかむ上で非常に重要です。
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財の限界効用
メンガーは、消費者が財をどのように価値づけるかを説明するために「限界効用」という概念を導入しました。彼によれば、財の価値はその財が満たす最も重要な欲望(または需要)から決まり、それによって財の限界効用が決定されます。この理論は後の消費者理論や価格理論の基礎となりました。
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経済学の方法論
メンガーは経済学の方法論に関しても重要な貢献をしており、彼の方法論的個別主義は、経済現象を個人の行動や選択から理解することの重要性を強調します。この観点から、経済現象を分析する際には、個々の経済主体の目的、動機、選択を考慮することが必要であるとされます。
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経済学と他の社会科学との関連
最後に、メンガーは経済学を他の社会科学と密接に関連づけています。彼は経済現象を単なる数値やデータの集積ではなく、人間の行動と選択の結果として捉え、これを他の社会科学的な要素と結びつけることで、より深い理解を目指しました。
『国民経済学原理』を読む際には、これらのポイントを意識することで、メンガーの経済学理論の独自性と深さをより深く理解することができます。