メンガーの国民経済学原理が関係する学問
経済学
カール・メンガーの主著『国民経済学原理』(1871年)は、近代経済学の基礎を築いた重要な著作として位置づけられています。本書でメンガーは、それまでの古典派経済学とは異なる新たな価値観に基づいた経済学の体系を構築しようと試みました。
限界効用理論
メンガーは本書において、財の価値はその財の総量ではなく、個々の主体にとっての必要性によって決定されるとする「限界効用理論」を体系的に展開しました。これは、従来の古典派経済学における労働価値説とは一線を画すものであり、後の新古典派経済学の中核的な理論の一つとなりました。メンガーの限界効用理論は、ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズやレオン・ワルラスといった同時代の経済学者も独自に展開しており、限界革命と呼ばれる経済学における大きな転換点の一つとなりました。
方法論的個人主義
メンガーは経済現象を分析する上で、個人の行動とその結果に焦点を当てる「方法論的個人主義」を採用しました。これは、社会や国家といった集団全体ではなく、個々の主体の行動と相互作用から経済現象を理解しようとするアプローチです。この方法論は、後のオーストリア学派経済学における重要な特徴の一つとなり、フリードリヒ・フォン・ハイエクやルートヴィヒ・フォン・ミーゼスといった経済学者に受け継がれていきます。
オーストリア学派経済学
メンガーは、限界効用理論や方法論的個人主義といった独自の経済理論を展開したことから、「オーストリア学派」と呼ばれる経済学派の祖とされています。この学派は、市場メカニズムの重要性や政府による介入への批判などを主張し、新古典派経済学の主流派とは異なる立場をとることが少なくありません。メンガーの『国民経済学原理』は、オーストリア学派経済学の原点となる著作として、現代においても重要な文献として位置づけられています。