## メルヴィルの白鯨の対称性
アイシュマイルの語りにおける対称性
「白鯨」は、物語の語り手であるアイシュマイルの視点を通じて語られます。彼の語り口は、しばしば対称的な構造を持つことが特徴です。 例えば、物語の冒頭と結末において、アイシュマイルは海への憧れと孤独を対比的に描いています。
鯨と人間の対称性
作中では、鯨と人間の対称性が様々な形で表現されています。巨大な鯨は、人間にとって抗い難い自然の力の象徴として描かれる一方で、捕鯨船に乗る人間たちの執念や狂気もまた、鯨に匹敵するほどの巨大な力として描写されます。
善と悪の対称性
白鯨であるモービー・ディックは、単なる悪の象徴ではなく、自然の力や人間の業の深淵を体現する存在として描かれています。一方で、エイハブ船長は復讐に駆られる悪の側面を持つと同時に、強い意志とカリスマ性を備えた複雑な人物として描写されます。このように、作中では善と悪が単純な二項対立としてではなく、複雑に絡み合ったものとして描かれています。