ミッチェルの風と共に去りぬの対極
「風と共に去りぬ」と対峙する視点
マーガレット・ミッチェルの「風と共に去りぬ」は、南北戦争とその後の復興時代を舞台に、南部の上流階級の生活、特にスカーレット・オハラという女性の視点から描かれた作品です。
この作品は、出版当時から現在に至るまで、そのロマンチックな描写や魅力的な登場人物によって、多くの読者を魅了してきました。
しかし、一方で、「風と共に去りぬ」は、奴隷制を美化し、南部連合を理想化しているという批判も常に浴びてきました。
作品に登場する黒人たちは、白人社会に従属的な立場として描かれており、彼らの視点から物語が語られることはありません。
対極に位置する歴史的名著
「風と共に去りぬ」の対極に位置する歴史的名著として、トニ・モリスンの「ビラヴド」を挙げることができます。
「ビラヴド」は、南北戦争後のオハイオ州を舞台に、奴隷制のトラウマから逃れられない黒人女性セセの物語です。
この作品は、「風と共に去りぬ」とは対照的に、奴隷制の残虐性を生々しく描き出し、黒人たちの視点から歴史を問い直しています。
「ビラヴド」は、ピューリッツァー賞やノーベル文学賞を受賞するなど、文学的に高く評価されているだけでなく、アメリカ社会における人種問題を鋭く告発する作品として、重要な意味を持っています。
それぞれの作品が持つ意義
「風と共に去りぬ」と「ビラヴド」は、どちらもアメリカ文学を代表する重要な作品ですが、その視点やテーマは大きく異なります。
「風と共に去りぬ」は、南北戦争という激動の時代を、あくまで白人女性の視点から描いた作品であり、その限界を指摘する声は少なくありません。
一方、「ビラヴド」は、これまで語られることのなかった黒人たちの声に光を当て、奴隷制という歴史の闇に真正面から向き合った作品です.
二つの作品は、アメリカの複雑な歴史と現在を映し出す鏡のような存在として、これからも読み継がれていくでしょう。