## マルクス/エンゲルスの共産党宣言から学ぶ時代性
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産業革命が生み出した光と影
1848年、マルクスとエンゲルスによって著された「共産党宣言」は、資本主義の矛盾を鋭く指摘し、共産主義革命の必然性を唱えた歴史的文書です。 この宣言が執筆された時代背景には、18世紀後半からヨーロッパを中心に起こった産業革命の影響を無視することはできません。 産業革命は、蒸気機関の発明や工場制機械工業の興隆などにより、それまでの人間の生活様式や社会構造を根底から覆す大きな変革をもたらしました。
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労働者階級の出現と階級闘争の激化
産業革命は、大量生産を可能にした一方、都市への人口集中や労働者階級の形成、そして貧富の格差の拡大など、新たな社会問題を引き起こしました。 工場労働者たちは、劣悪な労働環境の下、長時間労働を強いられ、資本家階級との間には、経済的な搾取構造が生まれました。 「共産党宣言」は、このような資本主義社会における階級対立を「ブルジョワジー」と「プロレタリアート」という二つの階級闘争として捉え、労働者階級による革命の必然性を訴えました。
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グローバリゼーションの進展と資本主義の拡大
19世紀は、交通・通信手段が飛躍的に発展し、世界的な規模で人、物、情報が行き交うグローバリゼーションの時代でもありました。 ヨーロッパ列強による植民地支配の拡大も、資本主義経済の地理的な広がりを加速させました。 「共産党宣言」は、資本主義がもつこのような世界的な拡大の側面にも注目し、世界同時革命の可能性を提示しました。 資本主義経済のグローバル化は、世界各地で共通の課題を生み出し、労働者階級の連帯を促す側面も持っていたのです。