マチエのフランス大革命を読んだ後に読むべき本
ミシュレ『フランス史』における民衆史の視点
マチエの『フランス革命』を読了後、さらにフランス革命への理解を深める上で最適な一冊として、ジュール・ミシュレの著した『フランス史』が挙げられます。マチエが政治史的な観点から革命の経過を克明に描き出したのに対し、ミシュレはフランス国民という壮大な”主人公”のドラマとして、熱狂と詩情あふれる筆致で革命を描写しています。
特にミシュレは、それまで歴史の表舞台から見過ごされてきた民衆に光を当て、彼らの生活や文化、そして革命への参加と貢献を生き生きと描き出しました。例えば、バスティーユ襲撃やヴェルサイユ行進といった革命の象徴的な出来事において、民衆一人ひとりの感情や行動に迫り、革命のうねりを体感させるような描写は圧巻です。
一方、ミシュレの歴史観は、フランス国民への愛国心に基づいたロマン主義的な側面も強く、客観性に欠けるとの批判もあります。しかし、彼の作品は、史料に基づいた綿密な考証に加え、文学的な表現力によって、読者を革命当時のフランスへといざない、歴史の渦中に巻き込まれるような興奮と感動を与えてくれます。
マチエの冷静な分析とミシュレの情熱的な叙述、両者の作品を読み比べることで、フランス革命に対する多角的な理解が得られるだけでなく、歴史という複雑なパズルを解き明かす楽しみを味わうことができるでしょう。