## マイモニデスの迷える者の手引きの批評
### 批評の概要
「迷える者の手引き」は、ユダヤ教の偉大な学者であるマイモニデスが12世紀に著した哲学書です。アリストテレス哲学とユダヤ教の伝統とを調和させ、神の存在証明、預言、来世などの問題を論じています。本書はユダヤ思想に多大な影響を与えましたが、その革新的な内容ゆえに、出版当初から様々な批判にさらされてきました。
### 神人同形説の否定に対する批判
マイモニデスは、神は抽象的な存在であり、形や属性を持たないと主張しました。これは、神を擬人化して理解する伝統的なユダヤ教の解釈と対立し、一部のラビから反発を受けました。彼らは、聖書に神の姿や声が描写されていることを根拠に、マイモニデスの見解を異端とみなしました。
### アリストテレス哲学の影響に対する批判
マイモニデスは、アリストテレス哲学を用いてユダヤ教の教義を解釈しました。しかし、アリストテレス哲学は異教の思想であり、ユダヤ教の伝統とは相容れない部分も含まれていました。そのため、一部のラビは、マイモニデスがユダヤ教を異教の思想で汚染していると批判しました。特に、魂の永遠性や世界の創造に関するマイモニデスの見解は、伝統的なユダヤ教の教えとは異なるとされ、論争の的となりました。
### 難解な表現に対する批判
「迷える者の手引き」は、高度な哲学用語や抽象的な概念を用いて書かれており、一般のユダヤ教徒には理解が困難でした。このため、一部のラビは、マイモニデスがユダヤ教の教えを民衆から遠ざけようとしていると批判しました。彼らは、ユダヤ教の教えは誰にでも理解できるものでなければならないと主張し、マイモニデスの難解な表現を非難しました。