Skip to content Skip to footer

マイネッケの近代史における国家理性の理念の評価

マイネッケの近代史における国家理性の理念の評価

マイネッケの主張

フリードリヒ・マイネッケは、その代表作『近代史における国家理性の理念』(1924年)において、近代国家の形成を「国家理性」の発展過程として捉えました。彼によれば、国家は、単なる権力機構ではなく、それ自体の中に目的と倫理を内包する理性的な存在です。そして、近代ヨーロッパにおいては、宗教改革や啓蒙主義などの思想的潮流と、三十年戦争やフランス革命などの政治的動乱を経て、国家が自らの内在的な法則と倫理に従って行動する「国家理性」が形成されたと主張しました。

国家理性の概念

マイネッケは、「国家理性」を、国家が個々の利益を超えた共通善を実現するための原理として捉えました。彼は、国家は、個人の自由と権利を保障するだけでなく、社会全体の秩序と福祉を維持する責任を負っていると主張しました。そして、「国家理性」は、国家がこれらの責任を果たすために必要な、歴史的経験に基づいた知恵や洞察力を意味するとしました。

評価と批判

マイネッケの「国家理性」の概念は、近代国家の理念を理解する上で重要な視点を提供する一方、様々な批判も招きました。

国家中心主義

批判の一つは、マイネッケの思想が国家中心主義に陥っているという点です。彼の理論では、国家が歴史の主体として位置づけられており、個人の自由や権利は、あくまで国家という枠組みの中で保障されるものとされています。

歴史の解釈

また、マイネッケの歴史解釈にも異論が唱えられています。彼は、近代ヨーロッパの歴史を「国家理性」の発展過程として捉えましたが、実際には、近代国家の形成は、権力闘争や経済的な要因など、より複雑な要因が絡み合っており、「国家理性」だけで説明するには無理があります。

全体主義との関連

さらに、マイネッケの「国家理性」の概念は、ナチス・ドイツによる全体主義体制を正当化する論理として利用されたとの批判もあります。

Amazonで購入する

Leave a comment

0.0/5