## マイネッケの歴史主義の成立と人間
歴史主義の成立背景
19世紀、ドイツでは歴史主義が興隆しました。これは、啓蒙主義的な合理主義や普遍主義への反動として、歴史に即した多様な価値観や文化を理解しようとする思想でした。
マイネッケの歴史主義
フリードリヒ・マイネッケは、ランケに代表される従来の歴史主義を批判的に継承し、独自の歴史主義を展開しました。彼は、歴史を「個性的」なものであり、それゆえに法則的な説明が不可能なものだと捉えました。
個体性の概念
マイネッケは、あらゆる歴史的事象や文化は、それ自体として独自の価値を持つ「個体的」なものだと考えました。これは、普遍的な法則によって歴史を説明しようとする試みを否定するものでした。
国家の個体性
マイネッケは、国家もまた個体性を持ち、独自の使命や価値観を持つと主張しました。彼は、国家を個人の自由を制限する存在としてではなく、個人が自己実現を果たすための場として捉えました。
歴史における人間の役割
マイネッケは、人間は歴史の創造者であると同時に、歴史によって規定される存在でもあると考えました。彼は、人間は歴史の中で自己を形成し、文化や伝統を創造していく主体である一方、歴史の制約から完全に自由になることはできないとしました。
客観的な歴史認識
マイネッケは、歴史家は個体性を超えて客観的な認識に到達することはできないと考えていました。彼は、歴史家は自身の立場や時代背景を自覚し、史料を批判的に吟味することによって、可能な限り客観的な歴史認識に近づくことができるとしました。