ポーの黒猫を読む
語り手について
語り手は物語開始時点で、すでに死刑を宣告された状態にあり、自身の過去の出来事を語っています。彼は幼少期から動物好きで、温厚な性格でしたが、結婚後、酒に溺れるようになり、妻やペットに暴力を振るうようになります。語り手は自身の変化を「悪魔に取り憑かれた」と表現しており、アルコール依存症の影響を示唆しています。
黒猫プルートーについて
プルートーは語り手の妻が飼っていた黒猫で、語り手は当初プルートーを可愛がっていましたが、次第に彼を虐待するようになります。ある夜、プルートーの目をくり抜き、首を吊るして殺害してしまいます。この行為は語り手の狂気を象徴しており、彼自身の内面に潜む暴力性と罪悪感が表れています。
第二の黒猫の登場
プルートー殺害後、語り手の前にプルートーに似た大きな黒猫が現れます。この猫は片目がなく、胸には絞首刑の跡のような白い模様があります。語り手はこの猫に恐怖と罪悪感を抱きながらも、家に引き取ります。しかし、猫の存在は語り手を常に苦しめ、過去の罪を思い出させる存在となります。
語り手の行動と結末
第二の黒猫の存在に耐えられなくなった語り手は、再び暴力を振るおうとします。しかし、妻が止めに入ったため、誤って妻を斧で殺害してしまいます。遺体を隠蔽するため、語り手は家の壁に妻を埋め込みます。一方、第二の黒猫は姿を消し、語り手は安堵します。
警察の捜査と語り手の自白
妻の失踪を不審に思った警察が家宅捜索に訪れます。語り手は冷静に対応し、疑いを晴らそうとしますが、隠蔽した壁から猫の鳴き声が聞こえてきます。警察が壁を壊すと、中には妻の遺体と、その上に座っている第二の黒猫の姿がありました。語り手は自らの犯行を自白し、逮捕されます。