## ボーヴォワールの第二の性に匹敵する本
1. ベティ・フリーダン「女の生き方」
1963年に出版された本書は、アメリカにおける第二波フェミニズムの出発点とされ、女性の抑圧された立場や、家庭生活への閉塞感を描写したことで大きな反響を呼びました。当時のアメリカ社会では、女性は「家庭の天使」としての役割を期待され、教育やキャリアの機会は限られていました。フリーダンは、広範囲にわたるインタビューや社会学的な分析を通して、こうした状況が女性たちに「名前のない不満」を抱かせていることを明らかにしました。
「女の生き方」は、女性たちが自らの経験を共有し、社会的な問題意識を共有するきっかけとなり、女性の権利向上を求める運動を大きく後押ししました。出版から半世紀以上経った現在もなお、女性の生き方や社会における役割について考える上での重要なテキストとして読み継がれています。
2. ケイト・ミレット「性の政治学」
1970年に出版された本書は、性差を個人の生物学的差異ではなく、社会的に構築された権力構造として捉え直すことで、フェミニズム理論に大きな影響を与えました。ミレットは、文学作品や社会制度を分析することで、男性が女性を支配するためのイデオロギーが社会に深く根付いていることを明らかにしました。
「性の政治学」は、それまでのフェミニズム運動が主に女性の法的・経済的な平等を訴えていたのに対し、性差に基づく権力構造そのものを問題視する「ラディカル・フェミニズム」の隆盛に貢献しました。出版当初は激しい批判にさらされたものの、今日ではフェミニズム理論の古典として、ジェンダー研究や社会学などの分野で広く参照されています。