ホメロスのイリアスを読んだ後に読むべき本
ホメロスのオデュッセイア
『イリアス』を読了した読者が次に手に取るべき本として最も自然なのは、当然のことながらホメロスのもう一つの叙事詩、『オデュッセイア』です。『イリアス』がトロイア戦争とその悲惨な結末を扱った作品であるのに対し、『オデュッセイア』はトロイア戦争の英雄の一人、オデュッセウスの10年間にわたる苦難に満ちた帰郷の物語です。
『イリアス』では戦争の残虐性と英雄たちの武勇に焦点が当てられているのに対し、『オデュッセイア』はより人間的なテーマ、すなわち故郷への憧憬、家族の絆、人間の狡猾さと忍耐力を描いています。オデュッセウスは知略に長けた英雄として描かれ、怪物や女神、その他数々の困難に遭遇しながらも、知恵と機転を駆使して故郷イタカ島を目指します。
『イリアス』と『オデュッセイア』はどちらも古代ギリシャの人間観や世界観、価値観を理解する上で欠かせない作品であり、対照的なテーマを扱いながらも、互いに補完し合い、より深い理解へと導いてくれます。『イリアス』の壮大な英雄譚に感銘を受けた読者は、『オデュッセイア』の知的な冒険譚と人間ドラマに、また違った感動を覚えることでしょう。